アイス・ミント・ブルーな恋[短編集]

君が毎日からいなくなる


今日という今日は怒った。
別れてやる。絶対もう別れてやる。

バイト先で知り合った彼と付き合って四年目。今まで何度も何度も喧嘩をしてきたけど、とうとう限界値に達してしまった。

「そんくらいでカリカリしてるわけ?」
「だって、もうこのことで喧嘩するの10回目だよ!?」
「疲れてんだよ、彼氏はお前と違って社会人なんだから」

カリカリしてる私とは反対に、同じ大学の男友達、綾瀬は呆れ返ったように表情を歪ませた。大学から近くの安い居酒屋で、こうして彼氏の愚痴を言いながら綾瀬と飲むのはもう何回目なのだろうか。

5つ上の彼氏とは、高校生の時からアルバイトをしていた居酒屋で出会った。まだ18歳だった私には、大人でかっこよくて、凄く素敵に見えたのだ。

私から告白して、OKされて、彼は大人だから遊ばれてどうせすぐ別れるだろうと思って付き合っていたら、なんだか妙に波長が合ってしまい、気づいたら四年が過ぎていた。

最初の半年は全てが新鮮だった。一年目記念日は嬉しくて堪らなかった。二年目は安定した恋愛に浸っていた。三年目はドキドキすることが無くなった。

そして四年目になった今、私は最早女として見られていないのではないか、という気持ちになってきた。

なんというか、こう、昔に比べて大切にされている気がしないのだ。雑なのだ。

「昔はこうだったああだった、っていう彼女ほどめんどくさいものはないね」
「だから綾瀬は長続きしないんだよ」
「お前が求める新鮮さってなに?刺身食いたいのか? 築地行けよ」

こいつはなんなんだ? いや、こんなやつに相談している私はなんなんだ?
なんだか言い返す気力もなくなり、私はたこわさをつまんだ。
< 85 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop