鬼課長とのお見合いで(新たに9月15日に修正済み)
プロローグ。

 私は、広告代理店で勤めて6年目になる。
 いつか大きなイベントや会社の広告を自らの手で
作りたくてこの会社に就職した。
 バリバリの働くキャリアウーマンなんて言えないし
失敗も多いが、必死に頑張ってきた。
 そんな私に苦手な人が居る。それは、この人だ。

「おい。何でお前は、いつも書類の書き方を
間違えるんだ?これで何度目だ?」

「申し訳ありません」

 必死で謝る男性社員。うわぁ…今日も怖い……。
私は、思わずビクついた。
 その人物は、『鬼課長』なんて言われている櫻井課長だった。

「ねぇ、相変わらず怖いわよねぇ~鬼課長」

「……う、うん。そうだね」

 同期で友人の玉田美奈子に言われ思わず頷いてしまった。
 真面目で異常に厳しく見た目も怖いため
周りにそう呼ばれて恐れられていた。
 私も恐れている1人だけど……。

 直接こっぴどく叱られた事はないが
私も仕事で何度か注意を受けたことならなる。
 それでもかなり怖かった……。

「聞く話だと課長って独身らしいわよ?
あれじゃあ、結婚なんて出来ないわよねぇー」

 美奈子は、クスッと笑いながらそう言ってきた。
櫻井課長って…独身だったんだ?
 へぇ~そうなんだ?
でも失礼ながら納得してしまった。
 だって、あまりプライベートとか想像が出来ないし
彼女とか奥さんの想像も出来なかったからだ。

だが、運命とは…何とも皮肉なもの。
 まさか、この櫻井課長とお見合いをするなんて
夢にも思わなかった。それは、数日後の事だった。
 母が突然自宅のアパートに来てお見合い話を
持ち出してきたのだ。

「はぁっ?お見合い…私が!?」

「そう。習い事で知り合った人の息子さんなんだけど
相手が独身らしくてね。
 いい方らしいから引き受けてきたの」

そんな勝手に引き受けないでよ!?
 いくら私が仕事、仕事で恋愛を疎かにしているからって
勝手に相談もなく決めないでほしい。
 そうじゃなくても最近忙しいのに……。

< 1 / 163 >

この作品をシェア

pagetop