鬼課長とのお見合いで(新たに9月15日に修正済み)

「ちょっと……離して!?」

 「ダメだ。他の男が抱き締めていたのに
何も言わない男が君を好きな訳がないだろ!?目を覚ませ」

その言葉がショックだった。
 違う…課長は、私のこと気になっていたって言ってたもん。
涙が溢れてきた。このままじゃあ……本当に嫌われちゃう。

「……ごめん」

 八神さんは、泣いている私を抱き締めてくれた。
私は、そのまま泣き続けた。
 その後。泣き続けたせいで食欲が出ず体調を崩した。
美奈子に早退にしてもらえるように代わりに頼んでもらう。

 自宅に帰りベッドに倒れ込んだ。
ハァッ…とため息が漏れた。
 八神さんに好意を持たれたのは、驚いたけど
悪い気はしなかった。
 だけど、私が本当に好きなのは、課長ただ1人。
それは、今も変わらないのに……。

こんなに好きになるとは、思っていなかった。
 だから余計に辛い。涙が溢れて……しばらく泣いていた。
 どれぐらい泣いたか分からない。
涙を拭うとカバンからスマホを取り出した。
 もしかしたら……課長から返事が!!

 だがメール着信0件。課長の返事は、1件も無かった。
もう、メールすらしたく無いのだろうか?
そんなの嫌……。

 せめて誤解だけでも解きたい。このままで終わりたくない!!
私は、課長にメールを打った。

『お疲れ様です。今日は、早退して申し訳ありませんでした。
 ですが、どうしても課長に話したい事があります。
あの小料理屋で待ってます。来るまで待ってますので』

 そのまま送信した。
何て重たい内容のメールなんだろうか。
 でも、どうしても早く誤解を解きたかった。

時間を確認すると16時近くになっていた。
 どうやら泣き疲れて眠ってしまったのだろう。
私は、シャワーを浴びて頭を落ち着かせた。
 そして時間を見計らって課長の連れて行ってもらった小料理屋に向かった。

 この時も返事すらない。来てくれるのかも分からなかった。
小料理屋に着くとまだ営業前だった。
 外でボーッと考えながら待つこと数十分。
そうしたら店長がお店の中から出てきた。

「あれ?君は、確か櫻井さんと一緒に来ていた」

「あ、はい。早くにすみません」

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