倦怠期です!
二人ともお酒を飲まないのに、居酒屋で会った私と小早川さんは、名物の串カツをメインに食べながら、色々なことをしゃべった。
初対面だけど、今まで電話で話したことがあるからか、会ってすぐに意気投合した私たちは、「コバちゃん」「すずちゃん」と呼び合い、年上とか関係なく、友だちだからということで、自然とタメ口調になっていた。

いつも聞いてる電話の声から想像していたとおり、「かわいい」という言葉がとても似合うコバちゃんから、中原さんとつき合ってると聞いて、私はビックリした。

「同い年なんだけど、あっちは大卒だから、社内では私の方が先輩」
「きっかけは?」
「うーん・・・。仕事教えてるうちにねー、何となく」と言うコバちゃんのコメントに、二人でケラケラ笑った。

「社内の人たちは知ってるの?」
「言ってないけどねぇ、どうだろ。お局の高原は感づいてるみたい」
「あ・・・高原さんって、お局なんだ」
「そうだよぅ。あの人、中途入社だけど、もうすぐ勤続17年目の45歳で独身。まだ彼氏いないらしい」
「えっ!?マジで45歳?あんな若い声出すのに・・・ふぅん」

冷却ユニットの担当をしている高原さんとは会ったことがないけど、一番やりとりをしている戸田さんは、高原さんのことを「おばちゃん」と言う時がある。
もちろん、高原さん本人には言ってないけど!
でも高原さんって、厳しい口調だし。
でもそれは、戸田さんがよくミスってるからじゃないの?と思ってたんだけど・・・どうやらそれだけじゃあないみたい。

「うち、社内恋愛は禁止じゃないんだけど、結婚したら女の方が辞めるって風潮はまだ残ってる」
「あぁ、それはうちもあるよ。管理って、総務や経理の部門なんだけど。そこの人2人が今度寿退社するんだけど、その内の一人の相手は社内の人だし。もう一人は社内の人じゃないけどね、やっぱり辞めるみたい」
「そっかぁ」
「コバちゃん、中原さんと結婚するの?」
「そこまでは考えてないよ!つき合い始めてまだ3ヶ月目だし。でもそうだねぇ、3年くらいつき合ったら、結婚考えるかも。それよりすずちゃんは?誰か好きな人いる?」とコバちゃんに聞かれた私は、「いない」と即答しただけじゃなく、両親が最近離婚したこと、原因はお父さんの借金であることまで話していた。

お酒が入ったからつい、ってわけでもないのに・・・。
でもコバちゃんには、話を聞いてくれる大らかさを感じたからだろうか。
気づいたら誰にも話したことがない両親のことを、すっかり打ち明けていた。
そして愚痴めいた私の話を、コバちゃんは嫌な顔一つせず、ウンウンと頷きながら熱心に聞いてくれた。

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