黒色女子を個人授業
「こちらこそ、よろしくお願いします」

私はペコリと頭を下げた。仮にも上司だ。礼儀正しくせねば。


彼は、それに――と付け加えた。

「うちの部署の女性社員でまだデートできてないの、天野さんだけだし」


え!?


彼の言葉に、思わず肩がぴくりと震えてしまった。

それって、今まで女性社員全員とデートしてきたっていうこと!?

ひょっとして……
仕事仲間と、というよりは、女性とコミュニケーションを取りたいタイプ?


とっさに私は身構えた。この人のイメージが『女好きな最低な人』で固まってしまった。


「まぁ、今度ゆっくりお茶でもするとして。
そろそろ帰社しますか。今日の打ち合わせの議事録書かないと」

「……そうですね」

乱されまくりの心中をよそに、大城さんは休憩時間を終わらせた。
< 12 / 510 >

この作品をシェア

pagetop