黒色女子を個人授業

***


名古屋出張の日。

奇しくも、この日は私にとって、特別な日。

30回目の誕生日だった。


ああー最悪。

こんな日に限って出張なんて。



「花山さん、これ見てくださいよ」

新幹線の隣の席で、滝川くんが観光ガイドを広げる。

「一緒に見に行きませんか?
なんなら、金曜日に東京へ帰らないで、土日も泊まって観光しちゃいましょうよ!」

「……遠慮しておきます」
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