【短】ウラハラ彼女




彼女が僕の前から消えて、1週間。


今までの騒がしさが嘘のように、自分の時間を持てるようになった。



複雑な想いを消すことは叶わないと、諦めている。


認めたくはなかった。



彼女がいた時の方が、落ち着いていられたなんてことを。





屋上に行くことなく、授業に出るようになった僕を、既に周りは日常化した他愛ないものだと認識しだしている。



人の溢れた教室で、毎日イヤホンを耳にはめながら入り口を気にしてしまう。


それは一体どうしてだ…?


まさか、来るはずのない彼女を待っているわけでもないだろうと、自分に言い聞かせた。




言いようのないこの感情を、僕は無いものと捉えていいんだろうか。


ぼぉ…っと窓の外に目をやりながら考える。



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