コワレモノ―人類最後の革命―
希望を壊す
「キーン、コーン、カーン、コーン」

チャイムの音が、夕日の少しだけ差し込む教室に響く。

「帰ろ、咲羅」

クラスメートに誘われ、私はカバンを持ち、教室を出た。

それが、事件の幕開けだとも知らずに。

「ねぇ、咲羅」
「何?」
「あそこ、何かいない?」

クラスメートの一人、上原希実(ウエハラ・ノゾミ)が、車道の向こう側を指さす。

「え、どこ?」
「ほら、あそこ」

希実の指を視線で追ってみるが、そこには何もない。

「…何もいな」

言い終わる前に、私の体が車道へと投げ出されたのが分かった。

「えっ…?」

気がつくと、私は道路に大の字になっており、私の足の方からはスピードを出したトラックが来ていた。

「嘘…」

私は逃げることができず、そのままトラックを待つしかなかった。

トラックは私の胴体ならびに頭は踏まずに、私の四肢を踏みつぶして行った。

痛みは、何故か声の原動力にはならなかった。いや、意識を失ったのが早かった、と言った方が正確か…。
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