波音の回廊
Whisper of the evil
***


 翌朝。


 朝日が主なき清廉の部屋にも差し込んできた。


 この期に及んで私は疲労と不安で、ぐったりとうずくまって眠り始めていた。


 その時。


 「お前たちは、何の用だ」


 外で衛兵たちが声を出している。


 誰かが来たらしい。


 「見りゃあ分かるでしょ。朝食と着替えの用意だよ」


 聞き覚えのある声が答えていた。


 「よし、入れ」


 女たちに続いて、衛兵も中に入ろうとしたのだけど、


 「ちょっと! これから着替えとかあるんだよ! あんたたちは入ってこないで!」


 その声の主は、私がこの屋敷に運ばれてきた時に、介護してくれた中年の女中だった。


 若い娘を連れ立って、食事と着替えを運んできた。
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