Sweet Lover
「実際、マーサは来てくれたんだから、問題ない」

須藤さんはそういうと、不意にとろけるような甘い笑みを見せて、私の頭をくしゃりと撫でた。
そうして、当たり前のように私を腕の中へと抱き寄せる。

隙のない動きで、私は、逃げることすらままならなかった。

「ちょ、須藤さん……?」


「キョーヤ」

「え?」

「キョーヤって呼んでくれないと、理性が吹っ飛んじゃうかも」

「―-ちょ、須藤さん?」

見上げれば、目の前に恐ろしいほど整った顔が迫っている。

「キョーヤって、呼んで?」

いや、あの――。って、紅い唇が近い、近いってばぁー

「響哉、さん」

私は考えるより前に、そう言っていた。

「仕方ないなぁ……。今日のところはそれでよしとしよっか」

彼は本当に嬉しそうな笑みをみせると、体を離し、他の部屋の案内をしてくれた。


なんとか寝る準備を整えた私は、一人、ベッドに横になる。
緊張して眠れないんじゃないかと心配するまもなく、心地よいベッドの中で吸い込まれるように眠りに落ちてしまっていた。
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