Sweet Lover
「やああああっ」

私は自分の悲鳴で跳ね起きた。
部屋が真っ暗で、それで、えっと。
いつものところに電気が無くて。

……どうしようっ

「マーサ」

部屋のドアが開いて、誰かが私を抱きしめた。

「やっ、怖いっ」

考えるより前に、唇が動き、反射的に身をよじる。
それでも、私を抱きしめる腕は緩められることはなかった。

汗ばんだ髪の毛を、何度も何度も、ただ、優しく撫でてくれる。

「大丈夫、マーサ。
 俺が傍に居るから。
 落ち着いて、ね?
 ゆっくり、深呼吸……。

 そうそう。ゆっくり吐いて。そうそう、うーん、良い子だ」

低くて優しい声に励まされて、ゆっくり、ゆっくり呼吸を繰り返す。
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