Sweet Lover
34.最後の欠片
翌日。
私たちは、須藤家の客間に居た。

私と響哉さん。
そして、育ての両親。
ついでに、佐伯先生が居るのは何故かしら。

「わざわざご足労頂きありがとうございます」

スーツ姿の響哉さんは丁寧に頭を下げた。

「いえ。
 こちらこそ――。
 まさか、真朝が兄の写真を見たいと言ってくれる日が来るなんて。
 夢のようです」

お父さんはそう言うと、私を見てにこりと笑った。

傷ついてなんて無いみたい――。

その現実が、私をとりあえずほっとさせた。
< 722 / 746 >

この作品をシェア

pagetop