LOVE SICK
あの日以来、祐さんからの電話もメールも無視をしていた。
朝、カフェに行く事もやめた。

顔を見るのが怖かった。


『恋人じゃ無くて……』


初めにそう言ったのは私だ。


それを貫く自信は今更無くて。
彼の顔を見て、泣き出さない自信も無くて。
それでも、自分の気持ちと彼の気持ちに正面から向き合う勇気も無くて……

遊びだったならすぐに連絡は無くなるだろうと思っていた。

それなのに……


「どうして……」


夜毎鳴る電話の着信音に、苦しくなった。

何度も一人、ベッドの上で携帯電話を握りしめて泣いた。


この音に苦しめられるのに電源を切ってしまう事が出来ないのはどうしてだろう。


『るう、大丈夫?』


『何かあった?』


『……俺が何かした?』


『るう……心配だから……元気ならそれでいいから。連絡下さい』


残される留守番電話に録音されたその声を、繰り返し聞いてしまうのはどうしてだろう。

無視しているくせに、この声を消せないのはどうしてだろう……


「祐さん……」


そんなのは分かり切っていて、ただ零れる涙が私に事実を突き付ける。

目を逸らせない程に大きくなっていた、私の想いを突き付ける。
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