甘い言葉で
6 お姉さまの苛立ち


『あゆみちゃんの隣に俺が立っても良いかな?』


はい?
ユズくん、また何をおっしゃいますの?
気は確かですか?
貴方はもっと綺麗なお姉さまを選べるじゃないですか?
それなのに、何故にあたし?


「えっと、ユズくん。何いってんですか?冗談はヨシコさんですよ?」


「ブッ!あゆみちゃん、いつの時代の言葉だよ?おじいちゃんにでもなっちゃった?」


あれ、ユズくんまた笑ってます。
あたし、また変なこと言っちゃった?


「あゆみちゃん、冗談じゃないよ。なんならもう一回言うよ。『俺は、朝からあゆみちゃんのことが好きになってる』だから、隣に立って君のことを守りたい。あの時だけじゃなくて、これからもずっとね。」


「え?『あの時だけじゃなくて』って?」


あれ?あたし、ユズくんに会ったの初めてだよね?なのに、なんで?今の言葉、変だよね?


「おれ、数年前にあゆみちゃんと出逢ってるんだよ?出来事は忘れてないけれど、俺のことは忘れちゃったかな?」


「え?何のこと?」


「ん~本当は、良い話じゃないから俺の口から言うのは気が引けるけど......掻い摘んで話すとね。数年前に嫌な思いをしたあゆみちゃんのことを守った男の子がいるでしょ?そこは覚えてる?」


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