穏やかな木漏れ日に照らされたカフェのテラス席で美咲は彼『大樹』と、お茶をしていた。
向かい合って座っているが大樹の視線は歩道を歩く人達に向けられている。


「美咲それ取って」


傍にあるシュガーポットを手にした美咲は、それを大樹の目の前に差し出す。大樹はシュガーポットを当たり前の様に受け取った。

学生時代からの付き合いなので、もう何年になるだろうか。長年連れ添った老夫婦の様に『アレ』『ソレ』で通じる事も多い。お互い仕事も順調で流れ的にはそろそろ結婚かな。などと何となく思っている現在。

先月彼の大樹は三十路の仲間入りをした。同い年である美咲は来月が誕生日。
ラブラブな会話をするわけでもなく。ドキドキするような恋愛期間は過ぎたのだと美咲自身も自覚している。

だからといって大樹の事を嫌いになったわけでもない。一緒にいれば安心するし、それが自然だと思えていたからだ。

ただ刺激は無くなった。二人の間には穏やかに時が流れているだけだ。

美咲の飲んでいたアイスティーの氷が解け『カラン』とグラスが鳴る。大樹が美咲の前に小さな箱を差し出した。

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