昼休みを終え職場に戻った美咲に智代が声をかけてきた。

「これ彼氏さんから預かりました」と美咲の掌に智代から渡されたのは美咲のアパートの鍵。
元々鍵を受け取る為に待ち合わせをしていたはずが予想外の大樹の登場により美咲の手元に鍵が返って来ていなかったのだ。
涼は仕事へ向かう途中書店に立ち寄り智代に預けて行った様だ。


「伝言もあるんです。今日の仕事が終わり次第大阪に向かうからって。彼氏さん忙しい人なんですね」

「うん。そうなの」

「じゃあ美咲さんの誕生日も一緒に過ごせないんですね。誕生日位、一緒に居たいってワガママ言えばいいのに」

「しょうがないよ。仕事だもん」

「年に一度しかないんですよ? プレゼントなんかいらないから一緒に居てって言えば居てくれるんじゃないかなぁ」

「ふふっ。そうもいかないのよ」


(涼の正体を知れば智代ちゃんもそんな事言えなくなるよね)


美咲は鍵をエプロンのポケットのしまう。
あんな離れ方をしたのだ。気にならないわけがない。せめてツアーに入ってしまう前に涼と会っておきたかった。


「藤沢涼だから…ですか?」

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