涼がカメラに視線を向けた瞬間、美咲は涼と目が合った様な錯覚に陥る。


「恋人への曲。そっか、涼は完全に手の届かない人になっちゃったんだね」


違う元からだ。元々違う世界の人だったのだと、美咲は喝を入れる様にペチペチと自分の頬を叩き気合を入れる。テレビを消し美咲は投げ出した仕事を再開するために店内へ戻った。





智代と二人、定時で仕事を終えた美咲は駅までの道を智代と歩いていた。
隣を歩いていた智代の背後を男性が追い抜く。その背格好が美咲の目に留まり言葉を失ったまま男性の背中を見送る。けれど男性の横顔がチラッと見え別人だと分かりガックリと肩を落とす。


「…なワケ無いよね」


涼が変装もしないで街中歩いてるなんてありえないかと思いながらも美咲は感じていた。
別れた日から、いつだって涼の姿を無意識に探している。もしかしたら突然顔を覗かせて美咲を驚かせたりするんじゃないかと思ったりして。

___もう会えないと分かっているのに。

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