もはや井戸端会議状態になっている隙に、美咲は店内へ戻り新刊を本棚に並べる作業に入った。
入荷した本を取り出し本棚の前に平積みする。コミック、週刊誌、月刊誌、小説。順番に並べていると声を掛けられた。


「それ一冊頂けますか」


美咲が並べかけていた小説を指さしている手元から視線を順に上げて行く。
どうぞと手渡した小説を受け取ると男性は親しげに話しかけてきた。


「やっぱりそうだ。もしかしてって思ったんだ。先日映画館で…」


男性は目深に被っていたキャップを少し上げメガネを外した。


「あぁ!泣き虫男」

「ハハッ。はい。その節はハンカチとティッシュ。ありがとうございました」


今、美咲の目の前に立っている人は、あの日映画館で隣りに座った人だった。


「ここの書店の方だったんですか?」

「あ、はい。はいそうです」

「へぇ。あれから何度かこの書店利用してたケド気付かなかったなぁ」

「そうです…か」

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