いつかの君が
四月
高校へとつづく下り坂を私は歩いてる。


この春、高校生になる。

私の名前は、小田 紫。

「むらさき」って珍しい名前だと思う。
でも、私は人と同じ名前は嫌だし、
紫色は好きだし問題ない!

とまあ、私は人と同じは嫌いなんだよね。

だから、高校生活とかめっちゃ不安。
人っておんなじような人としか関わんないじゃん。
私のような変わり者が、他の子に受け入れられるか…とか色々気にしてんだよね。

まあでも?
私、自信だけはあるから大丈夫!

友達は出来ないという想定で、高校生活送っていこうじゃない!




―――そんな風に思っていたら、事故に遭いました。

「エエエエエエ!?なんで!?私のようなめっちゃ普通の高校生になろうとしてたものが事故なんてものに遭うんですかね!?なんで!?なんで!?なんで!?」

「知らねーよ笑笑、てか、紫ってほんとついてないっつーか“カワイソウナコ”だよね~笑笑」

「事故に遭ったやつにかける言葉がそれってどういうこと!?もっといたわってくれる!?」

坂を歩いてたら、突然歩道がわにたつ住宅の車が私に突進してきた。

いやいやいやいやいや。
あらためて思う。
ひどすぎるでしょ!!

まあ、しかたないんですけどね…



いま、軽い事故に遭った私のお見舞いにきてくれてるのは、
中学校からの親友の“藤澤 閖”ちゃん。

「私、最初なまえが読めなくて“ユリ”ちゃんに睨まれたな~笑笑

ユリちゃんは背が高くて、美人で頭もよくて中学校ではテニスの部長さんもやってたスーパー少女なんだよね。

もちろん、そんなコを少子化という過酷な時代に産まれた男子たちがほっとくはずもなく、ユリちゃんはモテモテ!!

しかーし!!残念ながら男子たちは告白する前から玉砕していったのだったー!!
なぜなら…!!」

突然、ユリちゃんが私のほっぺを両手でバシンと少し弱めに叩き、顔を近づけて

「ちょ~~~元気だね?紫ちゃ~ん。うちがなんだって~??」

「…なんでもないれす…」

「あんたほんとに声大きいんだから!!
知り合いいたらどうすんの!!」

と小声で怒られた。

同じようなやりとりをもう私たちは何回も繰り広げている。そのたびに、私は仲が深まったようで嬉しかった。

まあ、そんなこんなでユリちゃんの周りからなぜ男子が消えていくのかというと、

その一、背が高いから

その二、嫌なことだけはっきりと言うから

その三、機嫌悪いと反応すらないから

ということみたい。
でも、ユリちゃんは自分に正直な人間で
私はスゴく尊敬してるし、大好き!!

本人には決して言えないけど…

「…紫もほんと災難だったから、
これぐらいにしとくわ。」

「お気遣いどーもー」

「それよりさー、今日は高校いけなかったけどこれから大丈夫そう?」

「なにがー??」

「自分のこと。ほら1年…」

「それこそ人に聞かれたら私が困るよ。」

ユリちゃんはごめんといった表情でうつむいた。
でも、

「…さっきの私の恋愛事情については私が困らないとでも言いたいんですか?」

「アハハ☆」

そして、ほっぺをつねられた。



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