監禁されることがお仕事です

ーー

「私もいませんよ。成人してからは仕事が忙しくて、それどころじゃなくて、いつも見つめ合うのがパソコンで、同僚の顔さえも見る暇がなくて、見たとしても、その生気ない顔が正に鏡であり、惨めな顔しているんだなぁ自分、とまたパソコンに向き直って、パソコン見つめて、パソコン閉じれば暗い画面に更に暗い自分の顔が映るから、もういっそこのまま無機質な数字の羅列眺めるのもいいかなって」

「分かった。パソコンと生涯添い遂げる気でいたのは分かったから、高校時代とかどう?」

「高校時代もないですねぇ。部活にのめり込んでいましたし。ソフトボール部だったのですが、私が入部した時の顧問が熱血漢でして、全国大会に行くが目標の中、数多の退部届が飛び交っても顧問は諦めずに練習練習で、早朝の筋トレ、夕暮れの中の地獄マラソン、暗くなり初めてからの千本ノック、暗くなっていても千本ノック、締めの筋トレ。結局のところ、部員は私一人になろうが、それでも顧問は、お前一人でも全国大会に出場出来る可能性を秘めていると、万本ノックを」

「分かった。分かったから、本当にごめん」


※社畜前は、部畜をやっていました。

< 47 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop