摩央と生活リズムを共有するようになって、一週間が経った。


 そのことに関しての情報もほとんど与えられないまま始めたこのアルバイトは、とにかく腑に落ちない点ばかりである。


「――ねえ、戸津成さんって、何で私たちを集めたと思う?」


 夕食のインスタントラーメンを啜りながら、私は摩央に訊ねた。


 戸津成さんは私たちに、純潔同士の行動を見守るのが目的と言っていた。


 百万という大金を代償にしてまでも、価値を見いだしている理由は?


 次に考えなきゃいけないのが、私と摩央が性交の経験がないということを、どこで知ったのかということ。


 私の場合は、心当たりがある。


 私が処女であることを知っている人間は、確実に存在しているから。


 だけど、摩央はどうなんだろう。


 そもそも摩央は、本当にそういう経験がないの?


「……戸津成さん、私たちのこと何の躊躇いもなく〈純潔〉って断定したじゃん。それって事実?」


 私は半ば息をのむ思いで、摩央に訊いた。


「――そうだよ」


 摩央が速答する。


 それは私にとって自分の期待どおりに結末を終えたドラマのような、大きな安心感を生んだ。


 摩央は女を知らない。私たちは、同じラインに立っている――。

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