「遥!いくよ!」

匠さんが玄関から私に声を掛ける。

「ちょっと待って」

私はバックを掴み、パタパタと廊下を掛けて行く。

「お待たせ」

匠さんは私を見ると、おっと目を見開く。

今日は以前匠さんに買ってもらった桜色のニットに白いフレアスカートを合わせた。

肩まで伸びた髪もふんわりコテで巻いている。

「今日は随分可愛らしいね」

期待通りのリアクションに気をよくして私はウフフーと得意気に笑う。

くるりと回ってみせるとスカートの裾がフワリと広がった。

「そのネックレス、全然着けて無いからなくしたかと思ったよ」匠さんは片眉を上げていう。

私の胸元ではアンティークジュエリーがキラリと光る。これも葛城のプレゼントである。

「だって、勿体なくて、つけられないんだもん」

「着けない方が勿体ない」匠さんは咎めるように目をスッと細める。

「で、今日は何処に連れて行ってくれるの?」

「I'm not telling you,Follow me(ないしょ、ついてきて) 」

「I just can't wait(たのしみだわ)」

上達したね、と言って匠さんは冷やかすようにニヤリと笑った。

そりゃそうだ、ジェニファーにはみっちりしごかれている。

匠さんに手を差し出されて私はギュっと握り返す。


本日4月4日はおかまの日…じゃなくて私の誕生日である。

20歳になりこれから堂々と赤ワインを楽しめるなんて本当にめでたい。

お祝いしようと、匠さんからデートのお誘いを受け、2人で出掛ける事になった。

本邸の方へ歩いて行くと、玄関前に黒塗りの車が停まっていた。

いつもは「大袈裟すぎる」と言って運転手付きの車は嫌がるのに珍しい。

寡黙な運転手井上さんが「どうぞ」と言って後部座席のドアを開けてくれた。

「ありがとうございます」私はペコリと頭を下げて車に乗り込む。

「ではお願いします」隣に座った匠さんが言うと車はゆっくりと発進する。

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