婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
運動が出来ない私は中谷先輩がいなくなると、テニス部を早々に辞めて勉強へとシフトチェンジしていった。

勉強ならそれなりの自信と実績がある。

憧れの東栄大学に入るため、高校2年の春からは脇目も振らずに勉強に没頭していた。

青春を謳歌する同級生達を尻目に単語集をいつも握りしめ、暇さえあれば英単語を覚えていたものだ。

その成果が実り日本で有数の名門大学へストレートで合格することが出来た。

彼女なんかになれなくていい。

だけど、東栄大学へ行って、また活躍する中谷先輩を遠くからでも見つめ続けていたいのだ。


「でもさー遥、見てるだけじゃダメでしょう?」

瑞希は私の超後ろ向き、粘着気質を見透かしたように言う。

「中谷先輩と運命的な再会を果たした、って言ってたじゃない?それを無駄にしちゃダメだよ」

「そうだね、神様がくれたチャンスだもんね」私はギュッと手を握りしめる。

「そうそう、その意気だよ。後で声掛けに行っちゃお」瑞希はニッコリほほ笑んだ。

ベビーフェイスで可愛らしい顔立ちの割に、瑞希は積極的である。今流行りの肉食女子ってヤツだ。

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