「バッサリ行く?」

鏡越しに美容師のお兄さんに尋ねられる。

私はブンブンと首を横に振った。

「そんな勇気ないです!」

「彼女は小柄だから、セミディはどう?」と美容師さんは提案してくれたが、初めて聞いた言葉なので思わず「セミディ?」と、聞き返してしまった。

「そそ。セミロングとミディアムの中間くらいだよ。アレンジしやすいし手入れも楽だからオススメ」

「じゃあ、それで」と言うと、オッケーと言ってお兄さんは髪にざっくりハサミを入れた。

私は怖くて目をギュッと瞑った。

物心ついた頃からずっとロングヘアだった。肩まで短くするのなんていつくらいぶりだろう。

そんな心の不安を知るよしもなく、お兄さんはザクザクとハサミで切り進めて行く。

握りしめた拳にパサパサと切られた髪の毛が落ちた。

「ほい、出来た」

恐る恐る目を開けると、鏡にスッカリ変わった自分の姿があった。

伸び切って手入れが全くされてないロングヘアーは肩まで短くなって、いつも上げていた前髪は眉の長さで切り揃えられていた。

「私じゃないみたい」

鏡の中の自分に魅入ってしまう。

まるでモデルのようだ、髪型だけ。

「彼女は元から髪の毛の色素が薄いからカラーリングはしない方が自然でいいね」

私のリアクションに気を良くしたのか、美容師さんはサービスで眉毛まで整えてくれた。

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