婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「じゃあ、俺のこと待っててくれる?」

身体をそっと引き離し、匠さんは私の顔を覗きこむ。

私は答える代わりに匠さんの首に腕を伸ばして唇を重ねた。

あーあ、このバカップル。

人目も憚らず盛り上がっちゃってるよ…なあんて周囲の人達は思ってるだろう。

だけど、全然構わない。ノープロブレムだ。

匠さんとのキスの感触を細部までしっかり覚えておきたくて私は全神経を唇へ向ける。

どうやら匠さんと出会ってから、私は大胆になったらしい。


別れ際、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で匠さんを出発ゲートまで見送る。

最後まで涙を堪えることはやっぱり不可能だった。

「また、3月の卒業式には戻る」

そう言い残し、匠さんはアメリカへと発った。


帰りの車でも涙が収まることはなく、寡黙な運転手川上さんが困り果てたのは言うまでもない。

今は辛くても、私達の未来はクスリ指のダイヤモンドのようにキラキラと輝くものだと私は信じていたい。
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