講義終了を告げるチャイムがなる。

学生達は答案用紙を提出し、一斉に教室から出て行く。

「遥、テスト出来た?」隣に座った瑞希が声を掛けて来た。

「ん、バッチリ。瑞希は?」

「多分行けそう」

私達は顔を見合わせて、ニンマリと笑みを浮かべる。

今日は簿記論のテストだった。上半期最後のテストだったので、私はめでたく夏休みに突入する。

「お昼食一緒に食べよー」瑞希に誘われて一階のカフェテリアへ移動する。


「瑞希は夏休みの計画立ててる?」

唐揚げを頬張りながら、私は尋ねる。

「合宿の他は、9月にけんたんとワイハに行く予定」瑞希がうふふ、と笑みを浮かべる。けんたん、とは新しい瑞希の彼氏である。広告代理店勤務の社会人らしい。

「遥は?」

「合宿の他はバイトばっかり。夏休みが明ける頃には小金持ちになってるかも」私は小さくため息を着く。

「御曹司の婚約者は?どっか連れてってくれないの?」

「あの薄情もんは旅行どころか音沙汰なしよ」私は唐揚げに箸を突きたてて、一口でバクリと食べる。

そう、葛城からはお宅訪問以来、一切連絡を寄こしてくることはなく、気付けば季節は夏に移ろっていた。

「あら、噂をすれば…」瑞希がチラリと右の方へ視線を向ける。

婚約者とガラの悪い連れ二人がトレイを持ち席を探している所だった。

私と瑞希は反射的に顔を伏せる。

瑞希も私と一緒に居ることにより、何かにつけてちょっかいを出されるのが嫌らしい。

しかし私達の切なる願いとは裏腹に、葛城達はあろうことか直ぐ後ろに座った。

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