【とある晩の夫婦の会話】




「早乙女。ひとつ提案があるんだが」


お夕飯を食べているときだった。

あたしの向かいに座って、ちょっと焼きすぎて黒くなってしまった干物に箸をつけていた日高くんが、あたしに話し掛けてきた。


本日のメニューは脂の乗ったマアジの開きに、山菜の磯部和え、採れたてのタケノコで作った若竹煮、新ゴボウの和風サラダに、アサリのお味噌汁。

それに漬けていたことをうっかり忘れてぬか床の奥深くで古漬けになってしまっていた人参とキュウリのお漬物と、たっぷりの白ごはん。



今日も学校から帰ってきてから約3時間半。

女中頭の梅さんとあたしの教育係である鶴子さんに何度もド突かれまくり、叱られまくり、人生の大先輩であるふたりから『花嫁指導』と言う名の愛の鞭で打たれまくりながら、どうにか完成させた献立だ。


日高くんと暮らしはじめた初日は、食材たちの恨みの声が聞こえてきそうになるほど不味い料理を出してしまったあたしだけど、同居をはじめて一週間、どうにか見た目も味もだいぶマシになってきたと思う。


だけど目の前に座る日高くんは、あたしを見てなんだかもの言いたげな顔をしていた。


「……お味噌汁の味をもっと薄くしろとか、日高くんはまたなにかあたしの作ったごはんにクレームでもあるんですか?」


3時間以上台所に立ちっぱなしですっかり冷えてしまった足をさすりながら、あたしは目の前の日高くんをにらみつけた。



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