(1)出会いの海




《 9年前の夏 》




◇ ◆ ◇



(せっかくおじいちゃんのお家にきたのに、誰もあそんでくれないなんてつまんないっ)


その日。7歳のあたしは、ひとりフテ腐れて夕暮れの小道を歩いていた。




小学校に入ってはじめての夏休み。あたしはめったに会えない田舎のおじいちゃんの家に来ていた。

お父さん方のおじいちゃんとおばあちゃんが住んでいるのは、あたしの家がある東京からは遠く離れた、海辺にある豊海(トヨミ)村。自然豊かなこの村へ来る日を、あたしはずっとずっと楽しみにしていた。

だってあたしを可愛がってくれるおじいちゃんと、いつもやさしいおばあちゃんに会えるから。

それに。

この村の浜辺から眺める海はとてつもなく壮大で、ただただきれいで。あたしは一目みたときから、この村の海がだいすきになっていた。


新幹線や電車を乗り継いでいる間も、早くみんなと海に遊びに行きたいな、浜辺で砂遊びをしたいな、磯の方で小魚とかヤドカリを捕まえるのもいいな、でもやっぱり海で水遊びするのがいちばんたのしいよなって。ずっとそんなことを考えてわくわくしてた。


なのにこの年は、村に到着するなり、あたしはおじいちゃんの家でひとりぼっちにされてしまった。


この作品のキーワード
ファンタジー  現代  高校生  神様  運命の恋  妊娠  初恋  和風  パープル16 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。