初恋 二度目の恋…最後の恋
「一部屋空いているそうです。創作小料理○○です。いいですか?」


 そう声を上げたのは折戸さんだった。予約してくれた店は雑誌でもよく紹介されてある人気のところで一度は私も行ってみたいと思っていたところだった。でも、予約が中々取れないと聞いていたから行くことはないだろうと諦めていた。それなのにこんな当日に一部屋を予約できるという。


「そこで予約しろ」


 一課は高見主任を含んでも、五人。私を入れても六人。


「じゃあ、すぐに移動する。蒼空はタクシーを呼べ。二台だぞ。」

「はい」


 定時に合わせて一課の電気は消され、真っ暗になる。


 高見主任を先頭に待たせてあるタクシーに向かって歩く姿は…注目の的で…。その少し後ろを私は歩いていた。


 五人の端正なイケメン集団がロビーを横切ると…。誰もが視線を送ってくる。その中にはうっとりとした桃色のものまで含まれていたりもする。やはり、営業一課は特別。


 車に乗り込み向かった先はしっとりとした大人の雰囲気の漂う小料理屋で小料理屋というよりは料亭という雰囲気で敷居の高さを感じた。


 そこに高見主任たちが平然と入っていく。みんなはスーツを着慣れているからいいかもしれないけど、いつも白衣しか来てなかった私にはスーツが息苦しい。


 それに気づいてくれたのは小林さんだった。


「そのスーツで大丈夫?買いに行くなら付き合うけど」


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