その日、学校で進路に応じたクラス分けの
話が出てどうしても兄と相談したかった俺は
夜遅くまで待っていたけど、
結局、0時をまわっても帰ってこなくて
とうとう睡魔には勝てず寝てしまった。



普段、夜中に目が覚めることは滅多に無い。

なのに何故かその夜に限って目が開いた。
不思議に思ったものの再び寝直そうと
寝返りを打ち目を瞑る。

「…………」

――声?

くぐもった、まるで押し殺したかの様な
微かな声が聞こえる。

声は隣の部屋からの様だった。


「……帰ってきたのかな」

夜光塗料の針は恐らく二時前くらいを
指している。

そういえば進路の話をと一瞬思ったけど
わざわざこんな真夜中にする話でもないな
と、思い直して掛布団を引っ張り上げた。


「…………」



―――何だろう?


やっぱり声が聞こえる。

こんな夜中に?電話?
それとも何かあったのかな。


そう思うとあれだけ眠かったのに
段々と目が覚めてくるから不思議だ。

それに気に掛かることがもう一つ。

漏れてくる声が、兄さんの声じゃない
気がする。

そんな事あるわけないのに一旦気に掛かると
もう確かめずに寝れない気持ちになってきた。


俺はノロノロと布団から起き上って
電気も点けず自分の部屋から出る。

隣のドアの窪みに手をかけると
声に加え微かにベットの軋む音。


「兄さん……?起きてるんですか?」


それでも極力小さな声で
言ったのはもしも兄さんが寝ていたら
と思うからだった。


窪みに手をかけた引き戸は音もなく開いて――

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