私を惚れさせて。私の虜になって。
泣いてばっかりで。
絶対意味がわからないはずなのに。

普通、困るはずなのに。

「どーしたんだよ」

ほら、ぶっきらぼうに、面倒くさそうな声を出しときながら、

それでも、頭を撫でてくれた。

枯れるってことを知らないかのように、とめどなく流れていく涙。

松木の胸にいた私はずるずると滑り落ちながら床に膝をつけた。

「そこ汚いから。立って」

視線を合わせるように膝を折ってくれた。

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