私を惚れさせて。私の虜になって。
ありがとうって。
来た道を戻って、さらにその奥。

松木もまーくんも、こんなに家が遠かったんだ。

なんか少し、寂しい。

「ねぇ、持つよ…?」

「いいよ」

さっきっからいくら言っても、私にそれを渡そうとしてくれない。

「黙って付いて来い」

なんて、強引に言われた。


駅も越して、少し経って、

まーくんは誇らしそうに一番を先導する。

「ねぇすがちゃん」

「ん?」

「好き」

「ぇー」

そんな、いきなり、言われても。

私が浮くだけになっちゃう。

「私も」

松木には聞こえるかどうかの声で言った。

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