風に恋したキミと
5*遠く離れてしまった距離
あれからなんだか桐島と前より距離が近づいた気がする。
LINEも大会の前だけじゃなくて、する必要のないくだらないことでも話すようになった。
そして、ドクターストップの期間が終わってから、走れるようになると思ってたわたしに
今度は病院の先生にリハビリで走るではなく、プールに行くように薦められて部活に顔出す日が少なくなった。
それでも桐島からたまに返ってくるLINEの返事が楽しみで、時間はそんなに経ってないのは分かってるのに
すぐにスマホが気になって、何度も確認するようになってきた。
そんな自分に気づいた頃には“わたしってもしかして桐島のこと好きなのかな?”って考えるようになっていた。
「いや……あるわけないよね。
だって相手はあの桐島だもん」
わたしはそう口に出して、外周を走り続ける長距離の子たちを遠くから見つめる。