イジワル王子の甘い嘘
2*「イジワル王子、自覚」

◇新しくはじまる日




私は、学校よりも家にいるほうが好きだ。


目覚ましの音を聞いて慌てて起きる必要はないし、愛斗くんのことでビクビクしながら過ごす必要もないから。


だけど、この間の愛斗くんは。


つい数日前に、私を嫌がらせから救ってくれたあの時の愛斗くんだけは、なんだか頼りになって、

学校の中で愛斗くんと話すことが、嫌だとは思わなかった。


それはきっと、愛斗くんがスーパーマンみたいに、私のことをタイミングよく救ってくれたから。

……そう、だよね?




「いってらっしゃい!」



「今日は結衣(ゆい)ちゃんと遊ぶのよね?戸締りよろしくね」




忙しそうに出て行く姿を目に入れると、そっと鍵を閉める。



春休みに入って数日。

パートに出るお母さんの見送りのために、私は玄関の戸締りをしていた。


お父さんとお母さんは私が春休み中でも働きに出ている。そんなふたりを見てると、こうやってまとまった休みをもらえる学生は幸せ者なんだなと思い知らされる。


家の中でひとりになった私は、自分の部屋の戻って身支度を整えることにした。


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