俺様社長と秘密の契約
今日も1日無事に仕事を終える。
…社長、重役会議で散々言われたらしいが、社長が提示した、新たな戦略を聞いて、それ以上誰も、社長に楯突く者はいなかったと、副社長の秘書から聞いた。

何も考え無しに行動する様な人ではないと言うこと、また一段と、社長の株を上げたのは、言うまでもない。

帰り支度を済ませると、私は1人、会社を出た。社長は私用の為、会社に残った。

「…」
会社を出た私を、…伊織がタバコを吸いながら、待っていた。

「こんばんは、理子さん」
「…高瀬専務、この間はすみませんでした」

私は伊織に、深々と頭を下げた。

「気にしないでください、私より、麗美の方が、ご立腹ですが」
そう言って、苦笑いする伊織。

「理子さん、御堂社長とは、どうなったか、聞いてもいいですか?」

「それは…」
そのまま言葉に出せないでいると、伊織は困ったように笑った。

「両想いになれたんですね」
小さく頷くと、伊織は溜息をついた。

「貴女が、神宮寺財閥のたった一人血を引いた後継者だから、御堂社長は
惹かれたんですかね」

…何、それ?
神宮寺財閥?血を引いた後継者?
何を言ってるの、この人は。

私は黙ったまま、伊織を見つめた。
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