俺様社長と秘密の契約
…目が覚めた俺は、腕の中で眠ってるはずの理子がいないことにハッとして、勢いよく起き上がる。

そして、ドアを開けて辺りを見回すも、理子の姿がない。キッチンにもいない。
…浴室の脱衣所のドアの前に行くと、ピタリと足が止まった。

…理子が声も出さずに泣いていた。
その理由が、俺にはわからない。だが、このまま、理子を放っておく事は、俺には出来ない。

サッと開けたドア。
理子は驚き、慌てて涙を拭う。

真っ赤になった目を見て、胸が痛んだ。

…ギュッと理子を抱きしめる。
理子は言葉が出ず、固まる。

「1人で苦しむな、俺がいる、もっと俺を頼れ、理子」

「…どうして」
「…え?」

「…黙ってたんですか?」
「…何を?」

「…私が…神宮寺財閥の血を引いていた事を」

…、どこでんなことを。どこで聞いた?

目を見開く俺を見て、理子は悲しそうに微笑んだ。

「…神宮寺財閥の後継者だから、ちかづいたんですか?」

「違う!」

「私が知る前に近づけば、何かと都合がいいから?」

「…違う!…話しを聞け、り「何を聞けって言うんですか⁈」

「…理子」

泣き崩れた理子を、俺は力強く抱きしめた。
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