今度こそ、練愛

昭仁と付き合い始めたのは三年前。
職場の忘年会で隣の席になったのがきっかけだった。



従業員百名ほどの小さな設計会社だけど、部署が違うと勤続年数が長くても知らない人は多い。しかも事務所は賃貸ビルのフロアふたつ分だから、フロアが違えば尚更わからない。
昭仁も、その中のひとり。



第一印象は気の利く人。
席に着いてすぐに彼の方から話しかけてくれて、人見知りな私をリードしてくれた。ビールを注いでくれたり、先に料理を取り分けてくれたり感心するほど。



話していても楽しくて、ずいぶん前から知ってる友人と話しているみたいで気持ちが解れていく。



すっかり意気投合した私たちは忘年会が終わると、そのまま二人で二次会へ。彼の行きつけだというバーで飲んで連絡先を交換して、ちゃんと終電で家に帰った。



翌朝目を覚ましたら、スマホに彼からのメールの着信。
『ふたりで会いたい』と。




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