恰幅のいい両親は、相変わらず元気そうで、体を揺らしながら私たちの側へ来た。

そして、母の視線はさっそく部長へいっている。

それに気づいた部長は、背筋を伸ばし、私たちには滅多に見せない笑みを浮かべた。

「初めまして。香奈美さんとお付き合いさせてもらっている、若狭祐平です」

さすが、エリート部長だけあって、挨拶がスマートで感じがいい。

いつもとは違う豹変ぶりに、呆気にとられてしまった。

これには、頑固な母も頬を赤く染めている。

「まあ、香奈美とお付き合いなさっている方が、こんなに素敵な方だなんて……」

「本当だな。まさか、こんなにきちんとした感じの人とは……」

と、父も大きく頷きながら納得していた。

やっぱり、部長に彼氏役をお願いして正解だったとつくづく思う。

見た目がいいし、態度も相手が好感を持つような雰囲気を出している。

「ねえ、お母さん。お見合い相手の方は?」

そういえば名前すら聞いていなかったと思いつつ、キョロキョロ辺りを見回す。

一緒に来ると言っていたのに、姿が見当たらない。

「ああ、さっき急に仕事の電話がかかってきたみたいで、電話されてるの。そろそろ来られるんじゃないかしら……。あ、ほら」

母が「佐原さん!」と手を振った相手は、たしかにお見合い写真の人だ。

足早にこちらにやってきた佐原さんは、「すみません」と言いながら、部長を見て驚いた。

「あれ? 祐平じゃないか⁉︎」