勝手に百人一首







ーーーもう、死んだっていい。




死んでしまいたい………。






裾に宝石を散りばめた豪奢なカーテンの隙間から覗く、白い三日月。




それを見つめながら、エレティナは静かに涙を流していた。






彼女は明日、神に嫁ぐ。




それは、この世に生まれた瞬間から決まっていた宿命だった。





エレティナはそのことを一度も疑問に思ったことなどなかった。




もちろん、今もそうである。





このラウレンダ王国で、太古の昔から変わらない風習。




この国は、国王の近親の女性を神殿の巫女として神に捧げることで、神の加護を受けて国の安泰を守ってきたのである。





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