How much?!


――――ピッ

電子音と共に室内から灯りが消えた。


彼がリモコンで照明を落としたようだ。

一気に緊張感が増していくと、


「悪いが、明日は特売品のセンター入りの日だから、早朝出勤なんだよ」

「え?あっ、はい」

「だから、俺は先に寝るな?」

「あっ………はい」

「おやすみ」

「…………おやすみなさい」


カサッと掛布団を手繰り寄せる音が聞こえて来た。

そして、僅かに軋むマットレス。

彼は寝返りを打ったようだ。


たちまち静けさが訪れた寝室。

聞こえるのは、お互いの息遣いだけ。


特売品のセンター入り。

通常商品の他に搬入される特売品をチェックする為、彼は早朝から配送センターに出勤するらしい。


うちの会社の配送センターは、時間で搬入出来る業者が割り当てられている。

取扱い商品の多い問屋や大手メーカーの搬入時間は早朝4時から。

搬入口は全部で20箇所。

大体30分間隔でスケジューリングされており、特売商品が重なると、センター内はてんてこ舞いになる。


私も何度か手伝いでセンター入りした事があるが、あれはもはや地獄絵図。

時間に追われ、商品を乱雑に扱うと外装が破損したり、中にはフォークリフトの爪部分が外装にグサリなんて事も。

特に食品は数量が多い為、運送業者も投げやりでする事が多い。

だからこそ、現場で監督せざるを得ない状況なのだ。


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