食器の音だけが無機質に響く。

 カーティスの家で食べる和気あいあいとした温かみのある雰囲気など一切ない、ただ義務的に口に食べ物を入れるだけの殺伐とした食事風景。

 
 目の前では義理の母と母の違う妹が騒がしく話をして、時折話し掛けてくるが、それに一切答える事も表情を変える事も無く淡々と食べ進める、セシルとカルロ。


 一応魔法学園に入学するだけの魔力と頭はあるものの、セシルとカルロそしてユイと比べると、遙かに劣る異母妹。

 そのくせ、セシルやカルロが必死で積み上げてきた信頼と地位に胡坐をかき、二人の妹という立場を使い、クラスで好き放題しているそうだ。

 何度注意しても改めない、傲慢な妹。

 母が違うとは言え、どうしてここまで違うのか不思議でならない。
 血が半分でも繋がっていることが、二人は恥ずかしくて成らない。


 だが、それも後少しで終わる。

 準備は着々と進み、後は必要な書類を提出するだけ。
 王の協力を取り付けている現状で、いくら伯爵が意義を唱えようと無意味だ。


 この日々とはおさらば出来ると思えば、不快な義母や異母妹の声も気にならない。


 父親である伯爵は時折相槌はするものの、基本的に静かで自分から話し掛ける事は無い。
 だが、この日は珍しく伯爵から口を開いた。


「セシル、カルロ、明日は出掛けずに家にいろ」


 伯爵から話し掛けられた事に少し目を見張った二人は、すぐに訝しげな表情を浮かべる。


「何か用事でも?」

「バラン伯爵の令嬢と会って貰う」


 バラン伯爵の令嬢は二人もよく知る人物だった。
 悪い意味で。

 最近二人に執拗に近付いてくる令嬢。
 二人に迷惑にならないよう、控え目に行動するファンクラブの女子達と違い、迷惑を考えず騒ぐわ馴れ馴れしいわで、ファンクラブとも諍いを起こしていた。

 そろそろ目に余るので行動しようかと相談していたところだったのだ。

 嫌な予感が過ぎる。
 

「お前達も、もうすぐ成人、婚約者がいても可笑しくはない。
 そして令嬢が決めた方をオブラインの跡取りとする」


 令嬢の家とは爵位は同格だが、オブラインの家と比べれば財力はあちらの方が上だった。
 かなりの持参金をちらつかせでもしたのだろう。


「分かりました」


 令嬢との婚約も、オブラインの跡取りの座にも全く興味はないが、今は従順な態度を取っておく。
 食事を終え、部屋に戻った二人は直ぐにレイスに連絡した。




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