あなたの優しさが…
彼は私が話したことを女将に伝えてくれた。

女将も驚いていたけど、快く了承してくれ、残した料理を包んでくれた。


私は彼が理解をしてくれたことと
明日、またご馳走だと思うと
それだけで嬉しくて、にやけていた。


彼は私を見ながら
『そんなに嬉しいのか…』
クスッと笑われた。


あ…忘れてた。
今日のこと。これからのこと。


「あの…これから何処へ」

そう聞くと

『俺のマンション』


あ。一緒に暮らすって。


「あの…私のアパート」

私も彼と似てきたのか、言葉足らず。


『部屋に行ってから…全て離す』


全て…。

そう言うと彼は口を閉ざした。

だから、私も何も聞かず
また窓の外を眺めていた。
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