年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
二日酔いの頭から血の気が引いて、さらに気分が悪くなった。

とりあえずここから出なくちゃ、と部屋の中を見渡すと、私の服がハンガーにかけられてクローゼットの前に吊るしてあるのを発見する。なんとか立ち上がって服を取ると、今できるマックスの速さで身につけて、カバンをひっつかんで玄関に出た。

バスルームと思しきドアからはまだ水音が聞こえていて、私の動きに気付いた様子はない。

気付かれないようにそっとドアを開けて、部屋を出る。

ドアを閉めたら全力で早歩きだ。今走ったら多分胃の中のもの全部ぶちまけるけど、それでも一刻も早くここから立ち去りたい。

アパートを出るとすぐに大通りに出る道があって、そこはいつも使っている見慣れた道だった。
知っている場所だったことにほっとして、少し歩くスピードを緩める。ここからなら私の家まで、歩いて十分くらいだ。

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