年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
後悔しない、恋のために


シャキン、シャキン、と。ハサミを動かす音が響く。

鏡越しに見る大輔くんの表情は、いつになく真剣で。でも迷いなく動かしていく手つきには、緊張は見られない。

見守る辻井さんは、一言も言葉を発さなかった。ただ静かに、大輔くんの手つきを見つめている。

たまに鏡越しに私と目が合うと、大輔くんは少し力が抜けたように、ふわっと笑った。
平気そうに見えても、やっぱり内心は相当緊張しているのかもしれない。

落ちていく髪の毛とともに、頭が軽くなっていく。鏡に映る自分は、もしかしたら人生で一番髪が短いかもしれない。


ばっさりショート、の約束を、大輔くんはきちんと守ってくれた。彼の手によって変身していった、今日がその最終段階。


プラス、大輔くんのスタイリストへの昇格試験を兼ねていた。


切り終わるといつも通りシャンプーして、ブローして、スタイリングする。彼が手を離した後に現れたのは、ナチュラルな中に強さを感じる、女らしい私だった。
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