年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~

3



「あの、ほんとにいいんですか? 綾川さんに練習台お願いして」

タオルをたたみながら往生際悪くそう尋ねると、カラーの在庫をチェックしていたタケさんの呆れたような声が返ってきた。

「まだ言ってんのか。もういい加減諦めろよ」

「諦めるとかじゃなくてですね、タケさんは嫌じゃないのかなー、って」

「嫌だったら最初からそんな提案しないって」

「まあそうなんですけどね、俺だったら嫌かなー、って。例えば恭平が沙羽さんの髪に触ったりしたら、その瞬間にイラっと」

「しないから安心しろ。第一、お前もうすでに何回も花千の髪触ってるだろ」

うわ今花千って呼んだー、と心の中で一人で慌てた。
そうやってさらっと綾川さんのことを名前なんかで呼ばれると、たちまち生々しさが増して、ガキみたいにドギマギしてしまう。


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