「髪も。もう切っちゃったんじゃないかと思ってヒヤヒヤしてたんですよ。

さっき長いままの姿を見て、安心しました」


そんな目をして人の髪を触るのはやめて欲しい。
勘違いしそうになる。


「約束したのは覚えてますか? 俺に切らせてくれるって」


髪を愛でていた目をすっと私の目に移した。
じっと見られて、勝手に心臓が高鳴る。

「覚えてるよ。ゆっくり変化させてくれるんでしょ?」

私がふいっと目を逸らせて言うと、はい、と柔らかな声で返事が返ってきた。

「早速なんですけど、今週の水曜日の夜とか、空いてますか?」

私が驚いて逸らせていた目を戻すと、彼はズボンのポケットから名刺入れを取り出して、一枚抜き出して私に差し出した。


「ノーブルヘアーの黒川(くろかわ)といいます。

カットモデルになってくれませんか?」

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