嘘つきなあなたからの恋文。








「これで本当に全てよ…」


「…うん」


まだ15歳の蒼には重い話しだったのか、そう一言だけ小さな声が返ってきた。



「蒼…母さんの話を聞いてお前はどう思った?」


ずっと黙っていた夫が蒼に問う。

蒼は口を開き、夫と私に応えた。


「正直最初は母さんをからかうつもりでこの話題を出した。

そう、冗談半分だった。

……でも話を聞いた今は何とも言えない気持ちで胸がいっぱいだよ。
なぁ……母さん」


顔を上げ、私を真っ直ぐ見つめる蒼の瞳は真剣な眼差しだ。

15歳はもう大人の枠に入る頃なのかしら……。


蒼の真面目な眼差しを見てふとそう思った。


「母さんは今の【コタくんのいない世界】で生きてて幸せ?」


しかし、少し震えた声で聞いてきた蒼の表情は不安でいっぱいの様子で

まだまだ子供なんだと安心し、そっと頭を撫でた。


「当然よ。

高校を卒後して、それから進学して、就職して、お父さん……湊くんと再会して、結婚して、そして貴方が生まれて…

私はとっても幸せよ?」


心から素直に思ったことを伝えたつもりだ。

けれど目の前の蒼の表情は変わらない。



「それは…もしも【コタくんがいた世界】があったとしても?……」


「【コタくんがいた世界】…?」



蒼の表情からは不安が消えない。

< 129 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop