「……ね、今日は、もう、やめ、よ」
 まだ日も高いベッドの上で、彼の舌先が私の胸の先端を執拗に舐った。
「あかん、やめひん」
 いつもの、こっくりと舐るような淫靡さが無い。がっつくようなこの素振りは、彼が怒ってる証拠で。
「ぃやぁっ」
 やっぱり、ギリっと歯を立てられた。
「ほら。ちゃんとこっち、集中しぃ」
 集中って。してるよ、しているけど。
 言葉にならない言い訳めいたものが、ぐづぐづと胸の内で燻る。
 あの二人のやり方を腹立たしく思っているのは、何も彼だけじゃないのに。
「あかん。今日は、抑えられひんわ」
「やっ」
 私の躰を軽々と裏返すと、彼は突っ伏す私を後ろから強引に貫いた。
 声の出る間もなく、私は躰をのけ反らす。
「ああ、ユズん中、温(ぬく)い」
 やはり、彼宛ての招待状は実家に届いていて、差出人は凛子の名前になっていた。しかも苗字はしっかり旧姓で。
 今現在の彼と親との関係を熟知している凛子がこんな風にしてくるのは、たぶん——。
「ほら、また」
「ぁん!」
 今度は耳朶に歯を立てられた。びくりと私の躰が勝手に撓(しな)る。背後からまわされた彼の腕が私の全身に絡みつくと、掌が私の胸を変形させる。揉みし抱く、なんて優しいものじゃない。力任せに握り締める、それくらいの勢いで。

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