薔薇の夢をあなたに
9章 月の石
「随分話し込んでしまったわね。」
「そうね…冷え込んできたみたい。」
私たちは館に戻ることにした。










戻ると、玄関のところに軍服姿のデイヴィスとロゼットが、一人のエルフと話していた。









「あ…あれは?」
二人とも馬を引いているところを見ると、どこかに出ていたようだ。











「長老…?」
サーシャはそのエルフを見ると、すばやく駆け寄っていった。












「長老、いかがなさいましたか?」長老と呼ばれたエルフはその声に振り向く。「サーシャか、探していたよ。」








落ち着いた声をもつ、そのエルフはサーシャと同じシルバーブロンドの髪を持つ若い男性だった。
その見た目は、長老と呼ばれるほどの高齢にはとても見えなかった。










「デイヴィス、ロゼット?どこかに行っていたの?」
「あぁ、ジュリエットか。」











二人はそれぞれの団の正装である団服を身に着けていた。
デイヴィスは赤の団服を身に着けていた。刺繍は黒の糸で施してある。
ロゼットはその色をそっくり反転させたものを身に着けていた。











「珍しいわね、二人が正装してるなんて。」「あ、これはね…」
「詳しい話は中でしよう、おそらくあの青の魔導士もいた方がいいだろう。」長老と呼ばれたエルフが声をかけた。











ロゼットとデイヴィスも目を合わせてうなずく。…一体どうしたんだろう?
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