薔薇の夢をあなたに
4章 再び歯車は動き出す
私は震える肩を抱きしめながら、「目」を開いた。




目的地はおそらく城…。
結界内に侵入した魔力は…1つじゃない…2つ…3つ…おそらく10数人か…どこかの軍の小隊?






違う…この魔力は…







「レイ!バラ園よ!私が落ちてきた場所に向かって!!」
「何か見えた!?」
「多分!移動魔法の痕跡をたどってきてるわ!急ぎましょう!」







シルバーはあっという間に城まで私たちを連れ帰ってくれた。
スピードを緩めず一気に城の裏手のバラ園を目指す。
いつの間にか、レイは金色の長いロッドを握っていた。









触れる肌からは息の詰まりそうなほどレイの濃い魔力を感じた。
私はさっきの予感を確かめたかった。
そこにいるのは…きっと…









一面にバラの香りがたちこめる。
その中心に見慣れた荷馬車が二台止まっている。
そして、そこにいたのは私の大好きな人たちだった。








「団長!!!!ロゼットさん!!!!!」
遠くの人影がこちらを振り向く。
私は飛び降りて全速力で駆け寄った。








「ジュリエット!!!!」
私はまっすぐ二人の胸の中に飛び込む。




「あぁ、…本当にジュリエットなんだね…
本当に無事でよかった…」
ロゼットさんが涙ながらに思いっきり抱きしめてくれる。







「すまない、遅くなってしまって…」
団長は、最後に見た姿よりずいぶん回復していた。
顔のやけどは白くひきつっていたけど、ほぼ完治しているようだった。
足はしっかりギプスで固定してある。







「私より、みんなが無事でよかったわ!!
あぁ、また逢えてよかった…」
私は周りを見渡した。






「みんな生きてるのね…」
「当り前さ!俺らがあの程度の下級悪魔にやられるわけないだろう!!」
一座の仲間たちは、それぞれ傷を負いながらも、
だれ一人欠けることなくそこにいた。








「ジュリエット…あんたの無事だけが心配だったんだよ…
私たちは本当に大丈夫なんだから…」
ロゼットさんは私を頭のてっぺんからつま先まで確認する。






「嘘…。無理やりの時空移動…したはずなのに…」
不思議そうに私を見る彼女に、私は言った。
「あのね、このお城の魔法使いさんに助けてもらったの。」






「魔法使い…まさか…」
ロゼットさんがはっとする。
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